地方自治
1、 地方自治とは
( 中 央集権 ※) 的な明治憲法の下では地方自治は認められておらず、知事も国から派遣された。
イギリスの政治学者(ブライス※)は、「地方自治は(民主主義の学校 ※)である」と表現した。
地方自治を行う機関のことを(地方公共団体※)(地方自治体)という。
地方自治の立法権(国会のような役割)にあたるのが(地方議会※)で一番の仕事は(条例※)をつくること。 その他に国会のように(地方予算の議決※)や、首長(都道府県知事、市町村長、区長)の( 不信任決議※)を行う。
地方自治において行政権(内閣のような役割)にあたるのが(首長※)で知事、市長などがいる。
(首長※) は地方議会が制定した条例や予算に対する(拒否権※)を持ち、地方議会に対して、(解散権※)を持っている。ただし、国の政治において内閣総理大臣が好きなときに衆議院を解散できたのに対して、首長が地方議会を解散できるのは地方議会が(首 長の不信任決議※)をしてきた場合のみ。
内閣と同じように、行政権(地方の場合は首長)から独立して仕事を行う(行政委員会※)という機関がある。
名称 |
仕事 |
(教育委員会※) |
学校の設置・運営に関する仕事。 |
(選挙管理委員会※) |
国会議員選挙・地方選挙に関する仕事。 |
公安委員会 |
地方警察のトップ機関。 |
人事委員会 |
地方公務員の採用や給料の管理、公務員の労働条件のチェックなどを行う機関。 |
(監査委員※) |
地方公共団体の税金がきちんと使われているかチェックし、監視する機関。 |
2.住民の政治参加
地方自治本来の目的
地方自治の本旨 |
(団体自治※) |
国の政治から独立して、その地方公共団体独自の政治を行う。 |
(住民自治※) |
住民投票など、住民が政治に参加しやすい機会を多くもうける。 |
この2つの目的を達成するために、日本国憲法とほぼ同時につくられたのが(地方自治法※)。
特に(住民自治※)を実現するために住民に(直接請求権 ※)というのを認めている。
請求の種類 |
必要署名数 |
提出先 |
取扱い |
|
(
イ
ニシアティブ
※)
|
条例の制定・改廃 |
有権者の
|
(首長※) |
(議会※)で話し合う |
監査 |
(監査委員※) |
監査を行う |
||
(
リ
コール
※)
|
議会の解散 |
有権者の
|
(選挙管理委員会※) |
(住民投票※)で決定 |
首長の解職 |
||||
議員の解職 |
||||
主要公務員の解職 |
(首長※) |
(議会※)で話し合う |
日本国憲法にも1つだけ、地方の住民が直接政治参加できる制度を規定していて、(特別法※) を制定するときは、国会での決議のあとその該当する市町村の住民による直接の投票で過半数を獲得しないと制定することはできない。
(住民投票条例※)とは「ある政治問題について、住民はどう思っているのか投票してもらって聞いてみる」ことを目的とした条例。
住民投票のテーマ |
実施自治体 |
実施年 |
結果 |
(原子力発電所※)の建設 |
(新潟県巻町※) |
1996年 |
建設反対61% 建設賛成39% |
在日米軍基地の縮小 |
沖縄県 |
1996年 |
縮小賛成89% 縮小反対11% |
産業廃棄物処理場の建設 |
岐阜県御嵩町 |
1997年 |
建設反対79% 建設賛成21% |
吉野川河口堰の建設 |
徳島県徳島市 |
2000年 |
建設反対90% 建設賛成10% |
(プルサーマル計画※)の受け入れ
|
(新潟県刈羽村※) |
2001年 |
受入反対53% 受入賛成43% |
3.地方政治の改革
事務面
2000年まで地方公共団体が行う仕事には、固有事務と団体委任事務と国からの依頼による(機関委任事務※)の3種類があったが、1995年には(地方分権推進法※)が制定され、機関委任事務が段階的に減らされていったあと、2000年には(地方分権一括法 ※)が制定されて、この機関委任事務は完全に廃止されることになった。
その結果、機関委任事務の代わりに国による強制力のない(法定受託事務※)というのができ、法定受託事務に不満があれば、内閣府に設置されている(国 地方係争処理委員※)に訴えて、拒否することもできるようになった。
経費面
バブル経済の時には地方公共団体と一般企業が共同してお金を出して経営する企業である(第三セクター※) などがさかんであった。これらが抱えた赤字をその地域の住民が税金で返済しているという状況が日本中で見られる。
;三位一体の改革:とは地方自治において、①(地方税※)の割合を増やす②(地方交付税交付金※)を減らす③(国 庫支出金※)を減らすという3つを同時に行おうとする改革のこと。
10年ぐらい前は地方税の割合は30%ぐらいに過ぎず、地方自治は(三割自治※)と呼ばれていた。
国は(市町村合併特例法※)という法律ができ、2005年3月までに合併を申請した市町村は(合 併特例債※)の発行が認められ、多額の借金をすることが許されるだけでなく、その借金の7割を国が払って返してくれるという特権が与えられることになった。
( 政 令指定都市 ※) に指定されると、国から干渉を受けない独自の政治を行う権利が多く与えられる。
2002年の(構造改革特別区域法※)の制定により、国に申請することにより(構 造改革特区※)に指定され、自由に事業を起こすことができるようになった。