国際連合

1.国際社会の成立

①1648年、ヨーロッパ中の国を巻き込んだ30年戦争の講和会議として@ウ;ェストファリア:会議が、開かれ、各国はそれぞれの国を他国が干渉すべきでない主権国家としてその存在を認め、問題が起きた場合、戦争ではなく話し合いで解決することを約束する@ウ;ェストファリア:条約を結んだ。これにより、国際社会が成立した。

②オランダの政治学者の@グ;ロチウス:は『@戦;争と平和:の法』の中で、国際社会では世界平和の実現のために国際法の整備が必要であることを説いたため、「国際法の父」といわれた。

 ③国際法には、文章にしてとりきめる@;条約:と、文章になってないのに世界に定着してしまった航海自由の原則や外交特権のような@国;際慣習:法がある。

2.戦争を防ぐための方法

第一次大戦前、イギリスはフランス、ロシアと、ドイツはオーストリア、イタリアと軍事同盟を結び、軍事力を増強したり同盟国を増やすことによって、お互いが攻め込みにくい状況を作り出すことによって戦争を防いでいた。このことを@勢;力均衡:方式という。

第1次世界大戦が終了すると、世界は巨大な国際平和機関を作り、戦争を起こす国が出てきた場合、全ての加盟国で戦争を起こした国に制裁を加える方法、つまり@集;団安全保障:方式で世界の平和を守ろうとした。この考え方によりつくられた国際平和機関が国際連盟と国際連合であった。

3.国際連盟と国際連合の成立

世界平和を維持するための国際平和機関を設立しようという考えは、ドイツの哲学者@カ;ント:が1795年に出版した『@永;久平和:のために』の中で主張したのが始まりである。その後、第一次世界大戦という悲劇を目の当たりにして、世界各国が本気で世界平和を願うようになった1918年、アメリカの@ウ;ィルソン:大統領がまとめた「@平;和原則:14ヵ条」の中で、カントが提唱した@集;団安全保障:方式に基づく国際平和機関の設立を提案した。このウィルソンの提案を受けて、1920年に設立されたのが、国際連盟である。

国際連盟の本部はスイスの@ジ;ュネーブ:に置かれ、日本を含む42カ国の加盟によりスタートしたが、組織上の欠点が多かったことから20年足らずで活動停止に追い込まれた。

国際連盟の主な欠点は次の3点。

① @全;会一致:制の投票方法を採用していたため、決議が困難だった。

② @大;国:が不参加だった。
 アメリカ・・・ウィルソン大統領は加盟したかったが、議会で反対されて不参加
 ソ連・・・社会主義国であることを理由に加盟が認められなかった。後に加盟するが、再び脱退。
  ドイツ・・・第一次世界大戦の敗戦国であることを理由に加盟が認められなかった。
        後に加盟するが、ヒトラーが政権を握ってから再び脱退。
  日本・・・満州事変をきっかけに、非難を受けたので、いづらくなって脱退。

③ 戦争を起こす国が出てきても@軍;事制裁:(軍隊の出動)が禁じられており、経済制裁(貿易の中止)しか行うことができなかった。

 第二次世界大戦中の1941年、大西洋上の戦艦の上でアメリカのルーズベルト大統領とイギリスのチャーチル首相が@大;西洋:憲章を作成し、国際連盟の反省を生かした新たな国際平和機関である国際連合の設立を提案した。

1944年にアメリカの町、ダンバートン・オークスで、アメリカ、イギリス、ソ連、中国の代表が集まり、国際連合を設立するための条約である国連憲章の原案の作成に取り掛かかった。この会議を@ダ;ンバートン・オークス:会議という。1945年2月の@ヤ;ルタ:会談で、米ソ英仏中の5大国に拒否権を与えることが付け加えられ、その後の@サ;ンフランシスコ:会議で51ヵ国がこの国連憲章に署名することにより、国際連合が正式にスタートした。

本部はアメリカの@ニ;ューヨーク:に置かれ、加盟国はその後増え続け、最近では2002年にスイスと東ティモールが加盟することにより、合計191ヵ国が加盟する巨大組織となった。現在加盟していない国は、国というよりも教会のような存在であるバチカン市国と、まだ国として認められていない@台;湾:、パレスチナだけである。

4.国際連合の組織

 国連憲章によると、国際連合は次の6つの主要機関が中心となって活動している。

6つの主要機関

役割・特徴

総会

・全加盟国が参加して開く、国連の最高機関。
・毎年6月から約3ヶ月間開かれる。
・一つの国が一票ずつの投票権を持ち、多数決で議決する。
 ※重要事項は@3;分の2:以上の賛成が必要。

@安;全保障:理事会

・戦争を防止し、平和を維持するための機関。
・5つの@常;任理事:国(米英仏ロ中)と10の@非;常任理事:国からなる。
・非常任理事国は選挙で選ばれ、任期は2年。
・;9:ヵ国以上の賛成により議案は可決されるが、重要事項では常任理事国が@拒;否権:を持つ。

@事;務局:

・国連の事務職を受け持つ。
・事務局の長が事務総長である。※現在は潘 基文事務総長

@経;済社会:理事会

・経済、文化、援助など平和的・非政治的な活動を受け持つ。
・多くの専門機関がここに所属するが、経済社会理事会には専門機関の指揮・監督権はない。

国際司法裁判所

・国家間の問題の裁判を行う。
・訴えることのできるのは@;国家:のみで、個人は訴えることはできない。
・対立する両方の国が@;同意:しないと裁判を始めることができない。
・オランダの@ハ;ーグ:にある。

@信;託統治:理事会

・不安定な地域を管理して、国として独立するのを援助する。
・1994年にパラオが独立してからは仕事がない。

●経済社会理事会

活動は広範囲に及ぶため、時代に合わせて多くの専門機関が経済社会理事会の下部組織としてつくられた。以下に主な専門機関。

専門機関

English

役割・特徴

@U;NICEF:
(国連児童基金)

United Nations International Children Emergency Fund

・世界中から募金・寄付金を集め、貧しい子どもたちを救済する機関。
 ※1965年ノーベル平和賞受賞

@U;NHCR:
(国連難民高等弁務官事務所)

Office of the United Nations High Commissioner for Refugees

・難民の保護、救済を行う期間。
 ※1954年、1981年ノーベル平和賞受賞
 ※前高等弁務官は日本人の緒方貞子さんだった。

@F;AO:
(国連食糧農業機関)

United Nations Food and Agriculuture Organization

・食料・農業問題に取り組む機関。

@U;NESCO:
(国連教育科学文化機関)

United Nations Educational Scientific and Cultural Organization

・教育、科学、文化の普及・国際協力を担当する機関。

@W;HO:
(世界保健機関)

World Health Organization

・医療機関、福祉問題に取り組む機関。

@I;AEA:
(国際原子力機関)

International Atomic Energy Agency

・核拡散防止条約に基づき、核兵器を隠れて作ろうとする国に対して核査察を行う機関。
 ※2005年、ノーベル平和賞受賞

@U;NEP:
(国連環境計画)

United Nations Environment Program

・環境問題に取り組む機関。

@I;LO:
(国際労働機関)

International Labour Organization

・労働問題に取り組む機関。
 ※1969年ノーベル平和賞受賞

@I;BRD:
(国際復興開発銀行)

International Bank for Reconstruction and Development

・貧しい発展途上国に対して、お金を貸す機関。

@I;MF:
(国際通貨基金)

International Monetary Fund

・世界の為替相場(通貨の両替)を管理し、貿易赤字に苦しむ国に対して、お金を貸す機関。

@W;TO:
(世界貿易機関)

World Trade Organization

・各国が公正な貿易を行うように、監視するための機関。

@U;NCTAD:
(国連貿易開発会議)

United Nations Conference on Trade And Development

・南北問題について話し合い、貧しい発展途上国を援助するための機関。

 専門機関は実際には経済社会理事会から独立して自由に活動している。

経済社会理事会は民間の@N;GO:(非政府組織)との連携も盛んである。

5.国際連合の活動

 軍事制裁を加えるために国連が組織した軍隊のことを@国;連軍:というが、冷戦下で拒否権が行使され続けたため、この軍隊は今までの歴史の中で一度も組織されたことはない。

 ●PKO(国連平和維持活動)

 1948年の第一次中東戦争の時から、国連は治安が悪化している地域に派遣して警察活動を行い、住民の安全を守ることを目的とした@P;KO:(国連平和維持活動)と呼ばれる部隊を、紛争地域に派遣してきた。

1992年から日本の自衛隊も参加している。

 PKOは6章の「平和的解決」と7章の「強制措置」の中間的な活動であることから@6;章半:活動と表現することがある。 

1956年のスエズ動乱の時から、対立する部隊の引き離しを行うために@P;KF:(国連平和維持軍)がPKOの中に配属され始めた。どちらかの勢力に味方し、戦争を起こそうという部隊でないことから国連軍とは違う。

 1992年に国連のガリ事務総長が、PKOの中に@平;和執行:部隊と呼ばれる戦闘行為を認め、武力で治安を回復させることを目的とする部隊を配属することを提案した。結果、ソマリアとユーゴスラビアの内戦にこのPKOの平和執行部隊が派遣され、世界的にも批判された。

 ●朝鮮戦争

 朝鮮戦争において国連の安全保障理事会で、韓国を支援し、北朝鮮に制裁を加えるための国連軍を派遣することをアメリカが提案し、ソ連が会議に欠席したため応急処置としてアメリカを中心とした@多;国籍:軍が結成された。 

この結果、安全保障理事会が機能しないために平和が脅かされそうな場合は、安全保障理事会に代わり、総会で「@平;和のため:の結集」決議を行い、総会の中に組織される@緊;急特別:総会が、臨時の措置を行えることにしようということになった。1956年の@ス;エズ:動乱を初めとして、今までに16回ほど「平和のための結集」決議により緊急特別総会が開かれ、総会がPKFなどを派遣して、事態を悪化させないように努力した。

 ●湾岸戦争

 1990年、イラクのフセイン大統領が隣の国のクウェートに攻め込み、クウェートをイラクに併合しようとした。アメリカはクウェートを助けイラクと戦うために安全保障理事会の許可ををもらって、@多;国籍:軍を組織して1991年にイラクに出撃した。

 ●国際刑事裁判所

 @国;際司法:裁判所は国家(政府)を裁く裁判所であり、国際的な犯罪を犯した個人を裁くための裁判所として@国;際刑事:裁判所が2002年に設立された。ユーゴスラビアで少数民族の虐殺を行ったミロシェビッチ大統領が有罪判決第一号となった。

 ●国連の課題

総会において1つの国に1票ずつの投票権に不満のある@ア;メリカ:は分担金を滞納している。

@日;本:はアメリカの次に分担金を多く払っている国だが、国連の中で働く人が少ない。

小泉首相は国連総会で日本の常任理事国入りの希望を宣言した。

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