1.労働三法
①
日本国憲法では27条で;労働基本:権を保障しており、それらの権利の保障をさらに確実なものにするために;労働基準:法、労働;組合:法、;労働関係:調整法という、いわゆる;労働三:法を制定している。
②労働基準法
労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めることにより、労働者が劣悪な環境で使われることを防ぐための法律です。現在は改正されているが、次のような規定があった。< 労働時間は1日8時間以内、週;40:時間以内とし、労働者に;有給:休暇も保障しなければならない。>最近は、どの時間帯で働いてもいいという;フレックス:タイム制を採用する企業も増えてきている。これらの基準を監視する国の機関は労働;基準:局や労働;基準監督:署である。
③労働組合法
労働組合が使用者と戦う手段として、;争議:行為<ストライキ>が認められている。労働組合に入った人をクビにするような労働組合の活動を妨害する;不当労働:行為も禁止されている。会社の中には会社が決めた労働条件の規則である;労働契約:と会社と労働組合が話し合って決めた;労働協約:という2種類のルールがあり、後者が優先される。
④労働関係調整法
こじれた労働問題を解決するために設置されているのが、国の;行政委員:会でもある;労働委員:会で、その活動内容について規定されているのが労働関係調整法である。次の3つの方法で、労働組合と会社の間の労働問題を解決することができる。 ㋐ ;斡旋:・・・労働委員会が自分たちの力で問題を解決できるように仲をとりもつ。㋑ ;調停:・・・労働委員会・労働組合・会社の三者で調停案を作り、調印させる。㋒ ;仲裁:・・・労働委員会が裁判を行い、その判決に強制的に従わせる。
@2.労働問題の歴史
①
1811年に;産業:革命が起こったイギリスでは、生産用機械が導入されることにより、職を失った労働者たちは生産用機械を壊し;ラッダイト:運動を行った。その後1833年には労働者の権利を保護するために;工場:法が制定された。その後、労働者にも選挙権を認めることを労働者たちが団結して政府に要求する;チャーチスト:運動が盛んになった。
②
1864年にドイツの社会主義者マルクスのもと、労働組合の世界的組織である;第1インターナショナル:が設立され、1919年には、国際連盟の中に;ILO:(国際労働機関)が設置された。日本では、1925年に制定された;治安維持:法により、戦前は労働組合を作ることは禁止されていた。しかし、第二次世界大戦が終結し、アメリカ軍による占領政策が始まると、GHQの経済民主化三大改革でも、労働組合の育成が目標とされた。
@3.三大雇用慣行の崩壊
①
日本の企業体質の次の3つの風習を三大雇用慣行という。㋐ ;終身:雇用制・・・定年まで雇用し続ける制度。㋑ ; 年功序列:型賃金・・・同じ企業に長く勤めれば賃金や地位が上がっていく制度。㋒ ; 企業:別労働組合・・・企業ごとに作られて活動する労働組合。
②
バブルがはじけて、企業は経営の効率化をはかる;リストラ:クチャリングに取り掛かり、企業によっては;能力:給や;年棒:制などが採用された。それに対して、 アメリカなどでは、大規模な;産業:別労働組合による活動が盛んであるのに、日本の労働組合は;企業:別労働組合が個別に活動し、労働組合に加盟しない人たちも組合運動は衰退してきている。
@4.その他の労働問題
①女子雇用の問題
1985年に国連の;女子差別撤廃:条約を日本が批准したことを受け、同じ年に;男女雇用機会:均等法が制定され、職場における男女差別をなくす政策がスタートした。1993年には;パート:労働法が制定され、パートタイマーと正社員の労働条件の格差を少なくすることが目指された。1997年には男女雇用機会均等法が改正され、男女差別をした企業に対しての罰則規定盛り込まれ、かつ企業の;セクシャル:ハラスメントの防止が義務付けられるようになった。同時に労働基準法も改正され、女性の;深夜:労働が認められるようになった。
②女子雇用の問題
1999年には;育児・介護:休業法が制定され、これにより男女労働者とも育児、介護のために一時的に会社を休むことができるようになった。しかし、現在でも女性の場合は、結婚や産休のために20~30歳あたりで仕事を辞め、子どもが大きくなった辺りからパートタイマーなどの仕事に再就職する人が増えるという;M:字型のグラフになっている。
③その他の労働問題
勤務時間外も働くという;サービス:残業をする人たちがたくさんいて、中には働きすぎのために;過労:死してしまう人がいることがある。しかし、最近は少しずつ労働時間が短縮され、アメリカ人よりは平均労働時間は短くなった。バブル絶頂期の頃は約1%に過ぎなかった;完全:失業率が、最近では約;5:%と悪化している。そして、;求人:倍率も1倍を切る状況の中、アルバイトだけで生活するという;フリーター:の若者も増えている。